2017.07.  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 2017.09.
■えんさをきみに

 
 
風冴ゆる屋上 僕を隠す小さな部屋
浮ついた夜景をよそに 君は僕をあいした
僕の声は 君の快楽に打ち消されて消えていく

馥郁たる香りに 関係を伏せる窓ガラス
見慣れた低い空を眺めて 僕は君にあいされた
沈丁花 馥郁と香る彼女の存在になす術もないまま

永い夕立に濡れる 見覚えのない些細な飾り
今更薄い壁を作ってまで 君は僕のからだを愛した
不穏な雷鳴が 君を匿うかのように僕の憂事を誤魔化して


惨く 散ったひぐらしの声


風冴ゆるコインパーキングの屋上 僕を隠すワンボックス
君が吐いた嘘の数だけを 今も覚えている
 


( 2017.08.08 ) ( ざれごと )
■私の妄想の話

 
 
最近私の友達がおかしい。
話しかけても無視をされてしまう為理由が分からない。
彼女の友達にも理由を聞いたけれど、
みんながみんな私の話を聞いては首を傾げてこう言うのだ。

「ハルちゃん、最近になって笑顔が増えたよね?」
 


( 2017.03.19 ) ( 長文 )
■雪解け

 
 
深く蔓延る足の根の 冴ゆる地を忘れ
見せかけの陽をあび 満ちたこぶくろを君はなぜる
二つの視線が交差する 午前3時

陽も落ちたころ 初時雨が零れては止む
ぬかるみで散った足の根が 凍る地を這いずりまわるころ
一つの視線が動揺した 午前5時

根に絞められてゆく 君は袋小路 彼は千切ったこぶくろをなぜて
しだいに、しだいに、心は一つ
けれども、けれども、身体は二つ

最期の雪解け 本当の日を浴び、君となかなおり
 
 


( 2017.01.14 ) ( ざれごと )
■ばんかにおちる

 
 
通い慣れたあぜ道 僕の数歩先を歩く君は 夏惜しむ日差しを纏う
「はやく 涼しくなればいいのに」と言いたげな早歩きが 季節を早送りするようで
その時僕は 今年も過ぎ行くであろう夏の情景を 初めて物寂しいと感じた

名前を呼ぶと 君は歩みを止めて振り返る
そうすると 涼風が僕を迎えて 君を追い越した

「なあに」と風に揺れる君の表情が 季節を巻き戻していくようで
その時僕は 来年も訪れるであろう夏の情景に 初めて君の後ろ姿を想った


( 2016.09.09 ) ( たわごと )
■おはよう

 
 
見慣れた天井に飽きがきて 明かりを消す
浮かび浮かぶ汚れた過去を打ち消すように
拭うことも 拭われることもなく 漏れる嗚咽は空中分解

遠くで鳴り響くサイレンが 明けない夜を延ばす
それはまるで他人事のように喧騒と不謹慎を掻き消して
子守唄のように 抱き締めるように 私を床に伏せていくというのに。

朝の知らせが私の身体を引き摺って 生気を促す
爽やかな朝に不釣合いな願望を揉み消して
今日も私は血を吐きながら呼吸をする。

おはよう、今日もいい朝だね


( 2016.03.21 ) ( ざれごと )